ピーンポーン
…ガチャ
「…何の用だ」
「よう、暫く邪魔するぜ」
「断る」
「ンな事言うなよ毛利――そういやコレ、お前が欲しがってた『日輪くんストラップ』なんだが…俺ァこんなの要らねェから捨てるとするかな」
「――よく来たな、伊達。しかし、今は部屋が散らかっている故、あまり人を上げたくないのだが」
「ある程度なら気にしねェよ」
「ほう…ここから奥の部屋が見えるか?」
「(oh…コレが腐海って奴か初めて見たぜ)…何で片付けねェの?」
「気が付いたらこうなっておった。一週間前ならばもう少しはマシだったのだが、な」
「(一週間掃除サボったのか…)へぇ…」
ドタドタ…ガタン!
「ったぁ~…!元就、台所の前に何置いてんだよ――よお、伊達じゃねーか。どうしたんだ?」
「あァ、何か真田ンとこの客が来るみてェでな」
「居づらいからここへ逃げて来たのだそうだ」
「誰もンな事ァ言ってねェだろ」
「概ねそんなところであろう」
「いいんじゃねーの?歓迎するぜ…上がれたら」
「そこは何とかしろよ」
「………。そーだなー、なぁ、伊達」
「何だよ」
「俺が掃除すっからよ、その代わりにちいっと協力してくんねーか?」
「Ha?俺も掃除すンのかよ?」
「いや、掃除は俺が一人でやるさ」
「…で、その協力ってのァ何だよ?」
「あぁ、まぁ、大した事じゃあ、ねーんだけどさ、詳しくは元就から聞いてくれ。俺は掃除してくる」
ガタガタガタ…ガシャン!
「行っちまったよ…何すンのかも言わねェで…。毛利、何か知ってンのか?」
「長曾我部の仕事に関することだ。我もたまに付き合わされ…いや、“協力”するな」
「付き合わされ?何だよソレ」
「やってみれば分かる事だ」
「…まァ、大した事じゃあねェんだろ?」
「そうだな」
「……いいンじゃねェの?」
「するのか?“協力”」
「そう言ってンじゃねェか」
「長曾我部よ、伊達が“協力”してくれるそうだぞ!」
ドタン、バタン!
「マジで?!よっしゃ、今掃除(ってか片付け)も終わったし、上がってもらってくれ!」
「だそうだ、奥まで進むが良い」
「…進めンのかよ、コレ…」
「床が見える所があるであろう、其処以外を踏むと、積み上げた荷物のバランスが崩れ、倒れてくる。気を付ける事だ」
「…trap houseかよ…しかも床見えるトコ少ねェし!」
「まぁ、奥まで行きゃあ何とかなるからよ……っと、お疲れ」
「…何で玄関からココ来るまでに疲れる必要あンだよ…」
「帰りまでにはアッチも何とかしとくぜ。じゃあ、そこ座って待っててくれ。準備してくっから」
「…準備…?」
「こないだ新作が出てよぉ、俺や元就よりは似合うんじゃねーかな、って取っといたんだよ」
「?!それって――!…おい、毛利!」
ガチャン。ジャラ…
「甘いな、伊達。ここまで来て今更退けると思うたか」
「(鍵の上にchainまで掛けられた…!)ちょかべ、テメエ本気かよ?!」
「あれ?元就から聞いてねーか?俺の仕事が化粧品販売だって」
「聞いてねェよ…!」
「ふん、長曾我部よ、我が策は成った。後は貴様次第だ」
「毛利、テメエもグルか!」
「その様に人聞きの悪い事を言うな。我は単に戸締りをしただけだ。近頃は物騒であるからな」
「…gaddamn…!!」
「ま、じゃあやっか、伊達。“協力”してくれんだろ?」
「………。」
「安心するが良い、長曾我部の技術は一流だ。素材が何であれ、見れぬモノにはなるまい…」
プフッ…
「毛利ィイ!!テメ何笑ってやがンだゴルァ!!」
「あ、伊達!あんまり暴れると上手くいかねーだろーが!」
「…shit!」
「いやーでも伊達って意外に肌白いしキレーだよなぁ。何か使ってんのか?」
「……no comment」
「眼帯は外せねーの?」
「触ったら3枚に下ろすぞ」
「勿体ねーよなぁ、顔半分隠れちまって…」
「…テメエも似たモンじゃねェか」
「あぁ、まあそんなモンだよな…」
* * *
ピンポーンピンポーンピンポーン……
「誰だ?」
「我が出よう」
「おう、頼むわ――よっしゃ、こんな感じかな?…意外と自信作だぜ、こりゃあ…」
「褒めたって何も出ねェよ。さっさと元に戻せ」
「えー?せめて写真一枚くらいいいだろ?折角キレーに出来たんだしよぉ」
「良くねェよ!!」
ドカドカドカ…
「お、誰か来たみたいだぜ」
「毛利の野郎、何でこの状況で人入れンだよ…!shit!隠れる時間ねェし…!」
ガタン!
「伊達殿!今から某と部屋へ戻って下され!」
「お~幸村じゃねぇか。どうした?」
「(よりによって真田かよ…ッ!!)」
「ちょかべ殿!申し訳ありませぬが、伊達殿は借りて行くでござるよ!」
「ああ、俺の用事は終わったからよ。好きにしろや」
「(ちょかべテメェェエ!!)」
真相といってもこの程度。